2008年11月13日

題詠マラソン2008:100首一覧

001おはようからおやすみまでに口を出すあの百獣の王を何とかしたい
002次行ってみよう次とえらそうにまとめるなダメだこりゃなのはお前の方だろ
003理由なき十代を過ぎ二十代などの記憶もない四十代
004塩沢トキのような頭にしたいという母を説得する雛の夜
005放送部の歴代部長の故意のミス全校生徒が聞く「告白中」
006ドラマツルギーなる言葉乱発し自滅していくワシ演出家
007壁塗りに命をかける父がいて壁紙はがす母はすでになし
008守護神はお前と指差すその指をまるごとくわえてみたい夜だよ
009会話してセックスをして会話してまたセックスをする恋人ぼくら
010「蝶々の纏足」ふいに放り出しふらふらしながら夕餉の買い出し
011除外される前に大声張り上げて「列外へ列外へ!さあ列外へ!」
012ダイヤのヤをついついアとしかいえなくていやなあせばかりかいているなア
013優生学極めた祖父の骨壷の底に光るもののあるとか
014泉湧くように世界に人々が溢れ先頭には泉ピン子
015アジアンのネタを収録したテープ泣きながら起こす仕事をしている
016%(パーセント)の文字0分の0に見えそれはゼロなの?それとも無限大?
017頭蓋骨の音聴くために頭突きする大木金太郎対ボボ・ブラジル
018集団が苦手だと意気投合してたちまち作る苦手な集団
019豆腐ハンバーグを作り黙々と親のかたきのように平らげる
020鳩居堂にふらりと寄って香をみる加齢臭などどこ吹く風で
021サッカー部の温和なあいつが切れたのはただ一度だけコックサッカー
022低いのは体温だけではないのです血圧も背も自給も鼻も
023用紙トレイのB5の紙が切れていてトイレの紙は潤沢にある
024「岸壁の母」が十八番のわが姪はツンデレでもありダンサーでもあり
025あられなき姿になった方が勝つそんな試合はもうやめようボクら
026基隆(キールン)へも一度帰りたいと泣き握りしめてる子供銀行券
027消毒の好きなあいつと会うごとにどんどん汚くなっていくオレ
028供花探し疲れてなおも歩いている墓など持たぬあの人のため
029杖立の温泉地までバスに乗り杖捨ててくるだけの贅沢
030湯気の波線を頭上に描いてやる怒った顔がわかりにくいから
031忍冬(にんどう)の花くわえては印結びこれぞ忍法忍ぶ恋なり
032ルージュとはフランス語だといってみるルーもルクスもルポルタージュも
033すいかするかがみにむかってすいかするおまえはだれだおまえはだれだ
034岡持ちをプレゼントされてひとしきり出前してきてから怒ったり
035過去のない男を気取るわれらこそいわずとしれた鳥頭隊
036船頭が何人いるやら阿呆船歩いていこうという奴までいて
037Vの字に上がった足がゆっくりとMに移行す長い春の夜
038有象無象のやつばらにまじり声あげる異端のつもり孤高のつもり
039王子祭開催中の当店に足りないものは一般人のみ
040粘菌の標本の山積み上げてからりと笑う米寿の祖母よ
041「存在の耐えられない軽さ」はいつだって貸し出し中で予約が百人
042「鱗姫」の奥付のそばに書き込まれた小さくかすれたSOSの文字
043宝くじ売り場の地下に掘られたるおばちゃんたちの秘密の社交場
044「鈴木先生」買ってきたまま本棚の上にほおって意識している
045楽譜など読めないけれど音の色はきれいに見えると微笑む岳父
046設定はいかがします?とフラットな声と姿態で夜毎聞く君
047ひまわりの種食べながら君の声鸚鵡になって繰り返してみる
048凧あげも羽根つきもせぬ正月は昏睡のように寝倒して終る
049礼服の中身とともにくたびれて不吉な黒に包まれている
050確率論幸福論と語りきて性愛論までいかぬ宴の果て
051「熊祭(イヨマンテ)の夜」がなりたて宴会場あとにしたまま消え去りし友は
052考えることなど何もないだろと熟考してきた赤い目でいう
053キヨスクとドンキの袋を見比べて迷った末に二重にして使う
054笛吹市出身だとは最期まで隠していたな横笛奏者
055乾燥に強い種だからとだまされていやだまされたふりで受け取る
056悩ましき課題を前に親指の爪をかみつつステップを踏む
057パジャマだけ豊富に持っている彼は引きこもりだが毎日着替える
058帽子屋の夫婦の家は学校の裏にしっかり隠してあるよ
059ごはんミュージアムに入って三日目にさまようごはんぢゃワンの姿
060郎の字がオレだけ違うそのわけは?一郎二朗三郎四郎
061@と全角で全力でいれてみる無理矢理君に伝える気迫
062浅草の雷門の対面のデニーズでずっと待っているんだ
063スリッパを忘れてきたのでもう一度ウチに帰ると裸足の少女
064可憐という源氏名だとは知らなんだ何故か途端に足が遠のく
065眩暈からはじまる今日の運勢はやぶれかぶれであたってくだけろ
066ひとりごとひとごとのよにくっちゃべるひごとよごとのよまいごとなり
067葱畑耕す人は去年から影がうっすらしてきた頃合
068踊らずにいられないから踊る君それを見ずにはいられないボク
069呼吸法勉強しているお隣の老夫婦励む夜の営み
070籍入れる書類の本籍地の欄にミッドガルドと書き怒られた
071メールマガジン届いたら即印刷ファイルにとじて未読のまんま
072緑魔子と石橋蓮司の芝居見に廃銭湯まで手拭さげて
073寄る年波金波銀波を乗り越えてカメカメ波ならちっとは出せる
074銀行に奉職四十年になる叔父の自慢のトマソン研究
075量産型ザクがいいのとキラキラと目を輝かせ夢見る乙女
076ジャンプしてみ?優しく諭す怖い人じゃらじゃらポケットの古銭が歌う
077横のもの縦にもしないが裏返すくらいのことはしてみるかもね
078合図するあいつとは相通じるものがあるんだ熱い会津士魂
079児童館脇の小道をとぼとぼと子供の声は嫌いではない
080Lサイズ専門店が立ち並ぶ都内某駅前商店街
081嵐なら誰の位置って聞かれても光GENJIすらわからないのに
082研ぎ澄ますベーゴマの縁必殺のガチンコ勝負前夜の儀式
083名古屋式バックドロップ炸裂しあえなくマットに沈むわが父
084球体関節人形に見惚れ果てわが関節の半月板損傷
085うがいいと口の形を褒められて悪い気もせず嬉しくもない
086恵方巻き途中で帯を解かれては回転しつつ食べ終える人
087天使税申告期限ギリギリに役所に駆け込むボクに黒い尻尾
088錯覚ですでに何日目になるかエッシャーの絵に似た祖父の点滴
089減量に失敗したボクサーのよにヨダカが歌う空に月と星
090メダルゲーム一筋の彼は会社では五百円貯金中途で断念
091渇水のニュースとともに甘やかな個室付き特殊浴場の思い出
092生い立ちをアリアに乗せて高らかに新宿区中央公園で謳え
093周波数合わせてみようとこめかみのツマミをひねる電波なナンパ
094「沈黙の戦艦」だけが延滞で返すに返せぬ春の夕暮れ
095しっぽがないついいましがた目の前を「しっぽがない」とつぶやき通る
096複数の彼や彼女と複雑に絡み合いつつ今日も生きるぞっ
097訴の文字のつくりの「ヽ」(てん)が物足りず「ヽヽ」(にこ)打ってみたら可愛くなった
098地下足袋のマドンナ現場に颯爽とニッカポッカのブランド寅壱
099勇気凛々瑠璃の色ボクたちはそのうち恍惚探偵団だな
100おやすみを何万回もいってきた夜毎日毎に生まれ変わるために
posted by やましろひでゆき at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 短歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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